緋牡丹博徒

f:id:wanihiko:20190602141543j:plain山下耕作監督 1968 日本 ☆☆☆☆

ウィキによると〝東映の任俠映画が一番良かった頃〟に制作された緋牡丹博徒シリーズ全八作、これはその一作目。主人公『緋牡丹のお竜』には当時22歳の藤純子高倉健が脇を固める。高倉健が演技してる姿ってまともに初めて見たけど、今作での彼は役所もあるがすこぶる格好良かった。そして瑛太に似ている。
父親を辻斬りで殺された矢野一家の一人娘〝緋牡丹のお竜〟は、各地の賭場を回りながら父の仇を探す。
主演の藤純子はやっぱりまだまだ若くクールというよりは可愛らしいが、手堅い脇役達の名演や単純に脚本の良さもあり、任俠映画ならではの演歌的な風情と寅さんのようなポップさが絶妙に同居している。上記した高倉健の格好良さもさることながら、コミカルな役で出ている若山富三郎も楽しいし(先日見た子連れ狼とのギャップがすごい)、何より中盤でお竜が助けられる女親分=清川虹子が無茶苦茶格好良かった。
最初と最後に挟まれる口上もキュート&クールな感じで良き外連味。ポップで見やすい任俠ものとして、また当時の邦画の色んな良さがギュッと詰まった傑作。
ただ唯一、自分が勝手に期待していただけだけど、博徒とタイトルに入っている割には、博奕勝負の要素がお飾り程度なのが玉に瑕だろうか。ラストバトルも、きっと最後は博奕で対決するんだろうと思っていたら結局殴り合いであった。