美しい夜、残酷な朝

美しい夜、残酷な朝(スリー・モンスター 쓰리 몬스터)』 : あるびん・いむのピリ日記

パク・チャヌク 三池崇史 フルーツ・チャン 韓国・日本・香港 2004 ☆☆☆

 著名な三監督によるホラー・オムニバス。一作当たりのランタイムは45分程度。

三池監督のものだけやや毛色が違うが、他の二監督による作は非常にパワフルなサイコ且つグロテスクなもので、またどちらも非常に耽美的な趣向強く、自分はこの二作が良かった。特に三作目のフルーツ・チャンによる「餃子」は画面の色使いや悪趣味な口元のアップなど、期待していた通りの雰囲気に満足。(とはいえフルーツ・チャン作品って他には「ハリウッド・ホンコン」しか見たことがないけれど。でもあの、エログロも猥雑もひたすら豪快に飲み込んでいく中国下町のパワフルさみたいなものは非常に好みで、そして今回観た「餃子」にもやっぱり同種の爽快さを感じた)

パク・チャヌクの一作目は一つの室内に4人のキャストを配しそこだけで物語が進んでいく舞台劇みたいな感じなのだが、低予算を逆手に取ったような上手い作りでピアノに縛り付けられている奥様のビジュアルがまず最高だし、オチも割合はっきり付いていて軽快。そしてパク・チャヌクといえばやはり、この短篇でも「復讐」がきっちり物語に埋め込まれているのも流石の趣向だった。

 

三池崇史のものは90年代辺りによくあった邦画の悪いところが凝縮されているようで、ただそれはそれで懐かしさもあって悪くはなかったのだけど、あの雰囲気のお話でさらに渡部篤郎をだされると、どうしても相方は中谷美紀じゃないと、何だか弱く感じてしまう。長谷川京子は勿論美人だけれど、どうにも存在感が「陽」に思えてしまうような。というか正直に言うと、観ている間どうしても最近のミラクルヒカルによる長谷川京子YouTubeのモノマネが脳裏にちらついてしまい、、

ただ劇中で長谷川京子が暮らしていた寒々としたコンクリ打ちっ放しの一室、廃ビルのようなマンション。あのような雰囲気の部屋には未だに非常に憧れがある。全体にブルーグレーみたいな、ハマスホイの絵のような雰囲気。

というわけで三池監督による第二話では、あの建物が優勝。次点で篤郎の怪人メイク。

 

三作とも、なんだかんだ楽しく観た。