マイ ビューティフル ガーデン

マイ ビューティフル ガーデン : 吉谷桂子のガーデニングブログ

サイモン・アバウド監督 英 2016 92分 ☆☆☆☆

庭および庭づくりという概念に自分は弱い。加えて本作主人公は図書館勤めで作家デビューを夢見る文学少女、服装も昔のzuccaっぽい感じがツボ。見るしかなかった作品。

幼い頃両親に捨てられたベラは予測不能な混沌=自然を怖れており、住んでいるアパートの庭も放置していた。しかしある時荒れ放題の庭をこれ以上放置しておくなら退去との勧告を受けようやく改善に着手するものの、知識もなくどうしようも無い。そこで造園家で偏屈老人の隣人アルフィーに仕方なく助けを求めるが、彼はある条件を提示する。

もっと造園や花々に関する実用的な知識が散りばめられた作品かと思っていたが、割とファンタジックでお伽噺色の強いものであり、庭は物語のための小道具に過ぎない。話の軸は二つで、内向的な少女がよき隣人に導かれながら一歩外側に踏み出していくというものと、同じく風変わりな発明青年との恋という二つ。どちらの筋も、そしてその絡みも凡庸なものだが、王道といえば王道でテンポ良く、また冒頭にも書いたけど本作は主人公を演じたジェシカ・ブラウン・フィンドレイという女優の不思議な魅力(ミラ・ジョボヴィッチに似た大柄でクールな美女といった出で立ちなのに、なぜか本作でのナード感がはまっている)やそのスタイリング、また隣人アルフィーの部屋のインテリア、勤め先の図書館の青白い雰囲気など絵面がかなり良く、特にアルフィーと打ち解けていく中盤以降は楽しかった。

映画作品として特筆すべきところこそないものの(趣味さえあえば)見応えある美しい画面をはじめ、色んな要素がそこそこバランスの良い佳作。ボーッと見てても適当に楽しい。