ブルー・レクイエム

ブルー・レクイエム - 解説・レビュー・評価 | 映画ポップコーン

ニコラ・ブークリエフ監督 仏 2005 95分 ☆☆☆☆

ジェイソン・ステイサム主演でハリウッドリメイクされているがそっちを先に知っり、面白そうだったのでオリジナルのこちらを観賞。やっぱりオリジナルの方が面白い場合が多いので、、、。

現金輸送の警備会社に新参のアレックスが入社してくる。特に特徴のない中年男だが、彼にはある目的があった。

ジャンルを言うならアクション・サスペンスというところだろうか。いかにもフランス映画らしい大人な演出で、クールな質感。日常パートとアクション時でテンポや温度感にあまり差がなく、だけどだからこそ、アクションシーンの緊張感や主人公のやるせなさが如実に伝わってくる。

物語は特にひねりもなくストレートなものだが、段々と明らかになってくる主人公の事情や目的が少しずつ自然に飲み込めるような脚本は、全体に押し付けがましさのない感じが却って主人公への感情移入を促進させる、さりげなくも上手いつくり。また一見削っても問題ないようなホテル係員とのサブエピソードや皆で射撃を練習するようなサブシーンが、実は短いランタイムの中で映画全体の奥行きに大きく貢献していると思う。

全体にちゃんと観客を信用しているというか、このくらいで十分伝わるでしょと言わんばかりの無駄の無い作りに少しばかりの効果的な遊びも配した、エンタメと文学味のバランス感覚に優れた良作。

短い時間で気軽に楽しめる、大人な雰囲気のフレンチ・サスペンスとして十分な良作。そしてこの主人公、如何にもステイサムが似合いそう! なので米版もそのうち見てみたいと思う。

ちなみに、あんな雰囲気が良いとは言い難い職場でもクリスマスには事務所でクラブミュージックを掛けて、老若男女みんなでダンスをしているシーンに一番フランスを感じた。欧米は流石、パーティ文化の浸透、成熟度が違うのだと改めて実感。