プレデター:ザ・プレイ

駄作】プレデター:ザ・プレイ_政治的配慮をするプレデター(ネタバレあり・感想・解説) | 公認会計士のわんぱく洋画劇場

ダン・トラクテンバーグ監督 米 2022 100分 ☆☆☆☆

プレデターシリーズ最新作。日本だとディズニープラスでのみ視聴可能。

舞台は1700年代初頭の北米大平原。ロケ地は主にカナダらしいけど、映画館公開がないのが勿体ないくらい広大な草原や深い森、小高い丘から見渡される空の描写が広く雄大に撮られており、気持ちが良い。文明の利器があっても苦労するプレデターを相手にせいぜい弓矢や手斧で少女がどう闘うのかと思っていたが、本作はプレデターの武具も二世紀分装備が古く(宇宙船や光学迷彩は既に所持しているが笑)、あとは地の利やその場の状況を巧みに生かす事で非常に白熱した勝負が演出されていた。

本作では、若く経験は浅いが柔軟な思考回路と手斧投げの名人である主人公をはじめ、一族の中でも抜きんでて優秀な狩人である兄貴とそのフレンズによって構成されるコマンチ族VSプレデターの狩人対決に、当時北米に入植してきて乱獲を繰り返す白人の半グレ集団が参戦する形で最終的に三つ巴の戦いとなるが、とにかく戦いの動機も展開も終始スムーズ且つ無理のない展開で自然に盛り上がるように設計されており、ついでに過去作へのオマージュなどもさらっと織り込み、非常に優良な出来。過去作のファンとしては、後半の流れがやや性急で特にクライマックスの戦いはもう少しじっくりじっとりやって欲しかったような気もするが、明らかに新規のファン層も開拓していきたいという強い意志を感じる本作においてはあれくらいのスピード感でサクサク事が進む方がベターだし、正解だろう。

とにかく主人公は可愛くて強いし戦士達は格好良いし(コマンチの衣裳やメイクがどれだけ史実通りなのかは分からないが、単純にデザインとして相当よい)、半グレたちは悪いし、プレデターは誇り高いし、結局一番怖いのはグリズリーだしで、最高に楽しかった。

宇宙渡航の技術まで会得した超文明の徒なのに毎回どこか抜けていて、それでも最終的にはちゃんと格好良い印象が残るという、絶妙なバランス感覚がプレデターというキャラクタのキモだと個人的に感じているが、その繊細な伝統を本作は見事に踏襲していたと思う。仮面や武具デザインも(若干ゴッドオブウォーのクレイトスさん?と思う瞬間はあったものの)良かったし、二世紀も過去の前日譚なのにアームコンピュータもきっちり使ってくれて、SFガジェット好きとしても満足度は非常に高い。

新旧どちらのファンも納得の、素晴らしい内容ではないだろうか。エンディングに続編を示唆するような内容がチラッとあったが、是非頑張って欲しい。