緋牡丹博徒 一宿一飯

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鈴木則文監督 1968 日本 ☆☆☆☆

シリーズ二作目。前回はなぜかあまり目が行かなかったけど、お竜の着物ファッションショーも本シリーズの大きな見所であると今更気付く。素人目だけど、生地や着付け、帯の合わせなどどこの場面でもまあ綺麗で惚れ惚れ。

今作の見所は何と言ってもお竜のライバルとしてがっつり墨の入った女博徒、おれんとの勝負だろうか。相変わらずあっさり目ではあるが、おれんのいかさまを見抜いて勝利する件は、前作で今ひとつ物足りなかった〝博徒〟感に満ちていて満足。ただお話全体としてはお竜自身の復讐が絡んでいた前作よりも更に陰惨な印象が強く、娯楽活劇のイメージで見ていると、かなりストイックな作りに面食らった。面白かったが、そんなに人を殺さんでもいいんでねえの、、という感じのシナリオ。そのせいもあってか、映画の幕開けでは活気ある祭りの渦中で楽しそうに叩いている太鼓を、ラストでは一人っきりで叩かせるのも悲しみが濃すぎると思ってしまった。あれ、いくらなんでも寂しすぎやしないかい、、色気より悲壮感が勝っているというか。

とはいえ、藤純子は前作よりも役が板に付いた感じで更に最高だし、着流しに仕込み刀の出で立ちでゆらりと現れる菅原文太も格好良く、今回初めて知った鶴田浩二も最高。ついでに悪役の親玉もなかなか花が有り、この時代ならではの役者達の佇まいを本作でも堪能。雨の堀端、柳の下での立ち回りなんかの狙い済ましたシーンも、狙い通り素晴らしい。十分な良作。