2021-01-01から1年間の記事一覧

バハールの涙

エヴァ・ウッソン監督 2018 フランス ☆☆☆☆ 〝女に殺されると、天国に行けない〟 クルド人で弁護士のバハールは夫と幼い息子と共に幸福に暮らしていたが、ある夜突然ISの襲撃を受け、夫は殺され、息子は連れ去られ、また自身は奴隷として売り飛ばされてしまう…

女は二度決断する

ファティ・アキン監督 ドイツ 2017 ☆☆☆☆ トルコ人の夫と幼い息子の三人で暮らすカティヤは幸せな日々を送っていたが、ある時たまたま友人とエステに行くため息子を夫の店に預けた日、夫を狙った爆弾テロが起き2人は帰らぬ人となってしまう。絶望するカティヤ…

レヴェナント:蘇りし者

アレハンドロ・イニャリトゥ監督 アメリカ 2015 ☆☆☆☆ 熊に襲われて瀕死のディカプリオ(主人公グラス)が、それでも息子を殺した男に復讐するため極寒地帯でひたすら頑張る。 開拓時代のアメリカ極寒地帯で鋭い目つきのディカプリオが復讐する話、としか認識…

悪魔を見た

キム・ジウン監督 韓国 2010 ☆☆☆☆ 若い女性ばかりを狙う猟奇殺人鬼ギョンチョルに妻を殺され鬼と化した捜査官スヒョンは、単独で彼を発見しGPS入りのカプセルを飲ませる。ギョンチョルが新たな犯行に及ぼうとするたび現れ、少しずつその肉体を壊していく。 …

ポルトガル、夏の終わり

アイラ・サックス監督 米・仏・ポルトガル 2019 ☆☆☆☆ イザベル・ユペールっていかにもその辺にいそうな、平凡な感じの女性なのに、画面の中ではいつ見ても不思議な華があって、たまに凄く見たくなる。 死期を悟った大女優フランキーは景勝地であるポルトガル…

世界で一番しあわせな食堂

ミカ・カウリスマキ監督 2019 フィンランド・英・中 ☆☆☆☆ アキの作品だと思ったらミカだった。 フィンランド北部の小さな村、開けた山裾の平原で一人食堂を営むシルカ。ある日店に中国人のチェンとその幼い息子が訪れ、人捜しをしているという。あるきっかけ…

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

クエンティン・タランティーノ監督 米・英 2019 ☆☆☆☆ 60年代のハリウッド。かつて何作もの西部劇で主演を飾ったリック・ダルトン(ディカプリオ)だったが最近は若手におされ、焦りを感じている。彼の付き人兼専属スタント・マンでいつも行動を共にしている…

帰ってきたヒトラー

ダーヴィト・ヴネント監督 2015 ドイツ ☆☆☆☆ かなり社会性の強いコメディ兼ドキュメンタリー。見る前からブラックなものだとは思っていたが、特にオチはブラック通り越して恐ろしい。原作小説は未読。 結果を出せず局をクビになったTVディレクターのザヴァ…

泣き虫しょったんの奇跡

豊田利晃監督 日本 2018 ☆☆☆☆ 自身も十代の頃は奨励会に入って棋士を目指していたという豊田監督が、特例でアマからプロ入りを果たした瀬川晶司のノンフィクション小説を映画化したもの。久しぶりの豊田監督&松田龍平。板尾や新井浩文をはじめ、過去の…

美しい夜、残酷な朝

パク・チャヌク 三池崇史 フルーツ・チャン 韓国・日本・香港 2004 ☆☆☆ 著名な三監督によるホラー・オムニバス。一作当たりのランタイムは45分程度。 三池監督のものだけやや毛色が違うが、他の二監督による作は非常にパワフルなサイコ且つグロテスクなもの…

草原の実験

アレクサンドル・コット監督 ロシア 2014 ☆☆☆☆ 台詞の無い映画。羽根で埋め尽くされた廃屋の中に佇むテーブルだけが映る最初の場面からこれは傑作だろうなと予想したが、想像通りだった。「サクリファイス」の遺伝子がそこかしこに散見されるのも嬉しい。 見…

残穢 住んではいけない部屋

中村義洋監督 2015 日本 ☆☆☆☆ 原作小説は未読。ホラーは必ず部屋の照明を暗くし、1人で見る。なんらかの扉、戸棚などを少しだけ開けておくと尚良い。隙間って、なんであんな怖いのだろう。 竹内結子演じる心霊など実は全然信じていないホラー作家が、私の住…

メッセージ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 2016 アメリカ 「三体」を読んで久々にSF熱が高まり、以前から興味のあった本作を観賞。 娘を若くして失った女性言語学者が、ある時世界中に突如出現した十二の宇宙船の一つに向かい、接触を試みる。彼らの目的は何なのか。 非常に…

サウスポー

アントワン・フークア監督 米 2015 ☆☆ 色々あって財産を失った上に幼い娘にも嫌われてしまった元ボクシング世界チャンプが、かつてのライバルの師であった老トレーナーと共に再起を目指す。 「イコライザー」が面白かったアントワン・フークアなので期待して…

ビー・デビル

チャン・チョルス監督 韓国 2010 ☆☆☆ キム・ギドク監督の助監督によるデビュー作。さもありなんといった感じのバイオレンスな復讐譚でやや強引だったり舌足らずに感じられるところもあるものの、デビュー作でこれだけのものが出来れば充分だろう。 ソウルの…

僕とアールと彼女のサヨナラ

アルフォンソ・ゴメス・レホン監督 アメリカ 2015 ☆☆☆☆ サンダンスで観客賞と大賞をW受賞した作品。自分のように、いわゆる難病ものに抵抗のある人ほど見て欲しい。 学内のどのカーストにも属さず、ただただ波風をたてないように生きるグレッグの唯一の…

それから

ホン・サンス監督 2017 韓国 ☆☆☆☆ ホンサンスのモノクロ小品。少ない登場人物と、事務所や飲食店など数カ所の定点撮影のみで構成されている。全体に会話劇の趣が強く、モノクロという事もあってジャームッシュや「女と男のいる舗道」の雰囲気に近しいものを…

奪命金

ジョニー・トー監督 香港 2011 ☆☆☆☆ トー監督の作品は「EXILE/絆」や「冷たい雨に撃て~」しか見たことがなかったので、てっきりノワール専業監督だと思っていたこと、本作を見て深く反省した。 ギリシャ危機当時の香港。営業ノルマに追い詰められている銀…

mid90s ミッドナインティーズ

ジョナ・ヒル監督 アメリカ 2018 ☆☆☆ 音楽が冒頭から何やら不穏な、普通じゃない感じでこれは誰だ?と思っていたら案の定トレント・レズナーだった。主役の少年はめちゃ可愛く、そのお母さん役の人もめちゃ綺麗。 90年代央ばのロス。シングルマザーで忙しい…

生きてるだけで、愛

関根光才監督 日本 2018 ☆☆☆ 本谷由紀子の原作小説は未読。何となく菅田将暉が見たくて適当に見てみたが、ヒロインの趣里が印象に残った。水谷豊の娘なのか、、爬虫類ぽい可愛い顔立ち。 躁鬱がひどく過眠症も患う寧子は合コンで知り合った週刊誌記者・津奈…

悪党に粛正を

クリスチャン・レヴリング監督 デンマーク 2014 ☆☆☆☆ デンマーク製の激シブ西部劇。 1871年のアメリカ。デンマークからの移民ジョンはやっと新天地アメリカでの生活に目星を付け、故郷から妻子を呼び寄せる。しかし再会の喜びも束の間、駅馬車の中で乗り…

サーミの血

アマンダ・シェーネル監督 スウェーデン 2016 ☆☆☆☆ 随分前だけど渋谷のアップリンクで広告を見かけて気になっていた作品。観る前は民族的な差別をテーマに据えた社会派かと勝手に思っていたが、いざ観てみるとどちらかというと最終的には主人公個人の生き方…

静かなる叫び

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 2009 カナダ ☆☆☆☆ 1989年、モントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件を基に多少の脚色も加え、映画化したもの。これは前から気になっていたのだけど、つい先日見た「アマンダと僕」が銃乱射テロによるものだったこともあっ…

ナイチンゲール

ジェニファー・ケント監督 オーストラリア 2018 ☆☆☆☆ あんまり縁が無いオーストラリア映画。予告編が面白そうだったので観たが想像以上だった。主演のアイスリング・フランシオンという方、綺麗だった。 19世紀の豪州では、イギリス人の兵隊が原住民である黒…

ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから

アリス・ウー監督 2020 アメリカ ☆☆☆☆ 話題になっていたネットフリックス製作の配信映画。メールの代筆から始まる少年少女の三角関係を軸にした普遍的な青春譚の形式を取りながら、現代を象徴する様々な社会問題が巧みに織り込まれている。 アメリカのどこに…

アマンダと僕

ミハエル・ハース監督 フランス 2018 ☆☆☆ 粗筋は何となく知っていたがテロがらみの作品だとは思っていなかったので、思った以上に社会派な鑑賞となった。ところで忘れないうちに最初に書いておくが、ヒロイン・レナ役を演じているステイシー・マーティンとい…

天国でまた会おう

アルベール・デュポンテル監督 フランス 2017 ☆☆☆☆ 本作は自分がどこで知ったのかも覚えていないが気付いたら映画リストに入っており、あまり期待もしていなかったが、べらぼうによくできていて非常に面白かった。 第一次大戦従軍中に知り合ったアルベールと…

宵闇真珠

クリストファー・ドイル監督 香港・マレーシア・日本 2018 ☆☆☆☆ ウォン・カーウェイのカメラマンで有名なドイルが初めて自分で監督したもの。期待通りの映像!作品で、一本の映画として完成度が高いとは決して言えないが、自分の嗜好には非常に刺さった。 香…

海底47m

ヨハネス・ロバーツ監督 2017 イギリス ☆☆☆☆ 夏に向けてサメ映画補給。最近これの2が公開されるという報があって、そこから本作の存在を知る。90分という気軽なランタイムやよし。 メキシコ旅行中の大人しい姉リサと活発な性格の妹ケイト姉妹は、知り合った…

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

石井輝男監督 1969 日本 ☆☆☆☆ 石井輝男と言えば一番有名なのはこれだろうか。乱歩はほとんど数編しかまともに読んでないので自分では元ネタが分からなかったが(とってつけたような「人間椅子」オマージュだけは笑ってしまったが)、ウィキによると「孤島の…