緋牡丹博徒 花札勝負

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加藤泰監督 1969 日本 ☆☆☆☆

シリーズ三作目。今作では冒頭の口上が別空間でなくて劇中に取り入れられる感じになっているが、そこの撮り方がまた何とも粋なミニマルで滅茶苦茶かっこよかった。

今回の舞台は名古屋で、前作と脚本の大筋は全く一緒。同じ町に複数の顔役がいるが、主人公のお竜が世話になる昔気質で義理堅い善玉親分と、イカサマや狡猾な手段も辞さない一帯の利権をかっさらおうとする若手の悪玉親分が衝突する。色々あってはめられた善玉は死に、最後は相手方の根城にお竜と不死松、そして手練れの流れ者である高倉健が乗り込み、大勢を相手に大立ち回り後、勝利するも後味は苦い。というような流れ。

ただ大筋は一緒とはいえ、例えば盲目の娘の為に仕方なくイカサマを繰り返す女博徒や、その元夫で博奕の神様と言われている男との絡み、あとは何と言っても相変わらずおいしすぎる役どころの高倉健との云々など、本作ならではの味ある細部の描写もまた丁寧で満足。

安心の様式美、定番の味。お着物も含めた藤純子の美しさは三作目にして未だ増すばかり。一番綺麗だったように思う。