死霊館

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ジェームズ・ワン監督 米 2013 112分 ☆☆☆☆

ホラーといえば夏のものっていう感覚、海外でもあるのだろうか。

大枚はたいて購入した夢のマイホームは多くの霊が住み着く幽霊屋敷だった!次第にエスカレートしていく状況の中、被害者一家は高名な心霊研究家であるウォーレン夫妻に助けを求める。

死霊館シリーズの一作目。オーソドックスな悪魔祓いもので筋書き、演出共に斬新なものはないが、丁寧な作りで要点はきっちりと押さえてくれている良作。とにかくホラー映画に大事な「怖がりポイント」の数と質、配置のバランスがとても良く、全体的にサクサク進行していくテンポの良さも相まってああ、分かってる人が作ったんだなあという安心感漂う仕上がり。なお個人的に苦手な、突然大音響でドーン!みたいな野蛮な驚かしはまあ幾つかあるものの、総合的なバランス感覚を崩すほどではなく許容範囲という感じ。

「実際にあった悪魔祓い譚」という美味しい素材を料理するにあたって、突出した良い点を作ろうと言うより、むしろ欠点を丁寧に潰していくかのような作り方をしているように見える本作は、以前見て印象に残っている個人的近年ホラーの傑作「ヘレディタリー」があえてホラーの定石を斜め上に裏切っていくのと対をなすかのような作りだが、どちらも甲乙付けがたく面白い。

霊能者夫妻の奥さんが綺麗な人だなーとは思っていたけど、ヴェラ・ファーミガだったことにエンドロール見るまで気づかず。「マイレージ・マイライフ」の印象しかなかったので驚く。あと被害者一家の五人姉妹たちが嫌になるほどの美少女揃いで、中でも夢遊病の四女シンディは絵に描いたような顔の造作。この辺りにも製作陣の抜かりのなさを感じる。総合的に隙のない出来映え。

そして見終わった後に思う、何だかんだ一番ヤバいのは、数多の呪具をコレクションしている部屋を自宅の一角にしれっと作っているウォーレン夫ではないか。「下手に処分するよりも安心だ」みたいなエクスキューズが一応あったが、だからといって自宅に呪いを煮詰めたような部屋作って生活するほうが信じられない。