イコライザー2

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アントン・フークア監督 2018 アメリカ ☆☆☆

デンゼルのガタイが1の頃よりずいぶん大きくなっていたのは気のせいだろうか。前作では臆することのない王道設定と、それを自分たちでも分かった上であえてギャグにしたかのような終盤の突き抜けた展開が最高だったイコライザーの続編。

前作最後でお助けサイトを立ち上げたロバートは、表向きはタクシー運転手をしながらそこに書き込まれる依頼をこなす日々を送っていた。ある時前作にも登場したCIA時代の上官であり親友でもあるスーザンが欧州での事件調査中に殺害されたことを知ったロバートは、スパイ時代の仲間達にも協力を仰ぎつつ事件の解明および犯人捜索を開始する。

偶然知り合った薄幸の美少女を助けるべく奔走していたら結果として国際的なマフィアをたった一人で壊滅させちゃいました!という単純さが馬鹿馬鹿しくも痛快だった前作と比べると、本作は幾分複雑なお話且つ雰囲気もシリアス。監督も脚本家も同じ布陣である事を考えるとこの変化はあえてだろうし、今作の雰囲気の方がはまる人もいるだろうがうーん。個人的にはあまりノれずであった。

本作ではスーザン殺害を巡る本筋に加え、かつてナチスの収容所送りにされた時引き離された姉の生存をたった一枚の写真から信じている老人との交流や、同じアパートに住んでいる黒人少年との話、はたまた女性に乱暴したセレブの悪ガキどもへのお仕置きなど色んなサブエピソードがあるが、そもそも本筋の話がアメリカとヨーロッパを行き来する上に時系列も若干前後するような輪郭の薄いフワッとした話なのに加え、そこにとって付けたような上記のサブ達も乗っけてあるので必然、全体としてはより統一感のないフワフワした物語になってしまった。しかも王道でB級で、しかしそれ故に物語全体が鮮明だった前作の事が頭にあるから今回のお話のしまりのなさが余計に際立って感じられてしまうという。

というわけで上にも書いたけど、前作ではテリー、今作では黒人青年マイルスを軸にした単純な仕事人シリーズにしてしまう事をあえて拒み、シリアス且つ重厚な方面に舵を切ったそのチャレンジ精神は買うが、どちらが面白かったかと言われれば明らかに前作だったと言わざるを得ない、そんな続編。

バトルシーンも今作のトーンに合わせたのか全体に地味だった、、特にアクション映画の見せ場と言えばラストバトルだけど、広大な深夜のホームセンターにてさながらプレデターのように敵を一人ずつ狩っていくのが見物だった前作に比べ、今作のそれは余りに通好みな渋いもの。嵐近づく無人の住宅街という変わった趣向は良かったんだけど。。