アリータ バトル・エンジェル

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ロバート・ロドリゲス監督 2019 アメリカ ☆☆☆☆

初めて3Dで映画鑑賞したんですけど、3Dメガネって眼鏡の上からでも何の問題も無いんですね、、、

火星との戦争により荒廃した遠未来の地球。(多分火星に入植した人々と地球との戦争?)天空に浮かぶ都市ザレムとそこから廃棄されるゴミで出来上がった地上の街「クズ鉄町」。高度且ついびつなテクノロジーがが発展したその街でサイボーグ専門医を営むイドは、ある日くず鉄の中から少女型の顔を持つ、脳と脊髄を発見する。彼女に亡き娘の面影を見たイドは新たな体を与え、再生を試みる。

原作漫画は読んでおらず、SFバトルものは大好物ながらCGで作られた主人公アリータのデカ目に違和感があり何だかなあと思っていた本作だが、原作ファンも含めて非常に評判がよろしいので観に行ったところ本当に滅茶苦茶面白く&格好良くて焦った。洋邦問わず原作もの、特に漫画原作の実写化ってまあ難しいものだと思うが、これは数少ない大成功の一つじゃないだろうか。

まず実際の俳優の動きを細かくキャプチャーして作られたCG主人公アリータだが、アクションシーンの細かい動きからアップでの顔の表情演技に至るまで、一切不自然な感じがない。CG映画ってあんまり見てこなかった自分にはここまで来たのかと驚愕の出来だった。ここまで出来るのなら、最早本作のように派手なアクションシーンがある作品に、実在の俳優を(モーション・キャプチャー元という以外で)使う意味がどこまであるのかというレベル。そもそも鑑賞前は目が大きすぎて変だなってあれほど思っていたのに、開始10分で一切違和感がなくなっていた。これまた良く出来た独創的な遠未来のスラムという舞台描写の秀逸さもあれど、初めての3Dというのも相俟って非常に感動した。

そして肝心のアクション場面。多分5、6回ある戦闘シーンはまるでベヨネッタのような見応えあるアクション演出の連続で、とにかくアリータが格好良く、迫力とスピード感を併せもち、おまけにその全体の見せ方もうまいわで本当に全パート最高。しかもそれら全ての見せ場に向けて、主人公アリータが戦う理由が展開上何らの無理もなく自然に描写されているのがまた素晴らしい(これって当たり前の様で、スムーズに出来ているアクション作品って実はかなり少ない)。特に本作の様な独創的な世界観のシリーズ初作ってどうしても説明的になりがちだと思うのだけど、今作はそういった作品社会の説明から荒廃した都市の雰囲気や像をもしっかり見せつつ、且つ自然な流れで各時点でのアクションへの動機付けをもスムーズに行っており、絵面が凄すぎてどうしてもかすみがちだが、脚本の構成も相当に上手い。大体いつも思うけどど、かっこよい戦闘にはかっこよい動機付け=良質な物語が絶対に必要なのだ。そういう意味で本作はそこもきっちりと抜かり無い。

全てのSF、アクション映画ファンにマストでおすすめしたい大傑作。本当に観る前はあのデカ目が不安だったが、映画館を出る頃にはすっかりアリータのことが好きになっていたのだからゲンキンなものだ。でもあんなの、そりゃあ惚れるでしょ!そんな作品。

なお余談だが、ハンターとして夜に出歩くイドのシーンには個人的に突然のブラッドボーンを感じた。ファッションと武器があまりにもまんまで。〝火薬庫〟かなって。